Good job プロジェクト
「協同労働」が描く 新たな社会の未来像」レポート
「太陽のもとのてらこや」ゴール地点である日光東照宮で、労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会専務理事・田嶋康利さんをゲストにお招きし、特別講演を開催しました。
「協同労働」という新しい働き方や組織形態を軸に、社会や地域の未来像について議論したその一部を抜粋してレポートします。
田嶋康利さんからはまず、日光東照宮という特別な場所での開催について、「この場所の歴史と自然の中で、日本の未来の働き方について考えられることに感謝します」とお話がありました。
協同労働は、「働く人たちが自ら出資し、経営に参加し、必要な仕事を創出する仕組み」で、「所有の概念を超えた組織運営により、共に価値を分かち合うこと」を目指しています。
田嶋さんが連合会専務理事を勤める「労働者協同組合(ワーカーズコープ)」は、働く人々が出資をして組合員となり、経営に参加しながら仕事に従事する新しい組織形態です。2020年12月4日に労働者協同組合法が成立し、法的な基盤を得ました。
この組織の特徴は、組合員が出資者であると同時に経営者であり労働者でもあるという点です。一般企業のように出資者、経営者、労働者が分離されているのではなく、全ての立場を組合員自身が担います。
組織の目的は、多様な就労機会の創出と、地域における必要な事業の実施を通じて、持続可能で活力ある地域社会の実現を目指すことです。
現在、ワーカーズコープは、全国で約1万4000人が就労し、事業規模は385億円に達しています。活動は北海道から九州沖縄まで広がっており、主な事業分野は多岐にわたります。
具体的には、地域福祉、子育て支援、障害者支援、若者の就労支援、コミュニティカフェの運営、農業、環境保全活動などを展開しています。
特徴的な取り組みとして、障害のある人もない人も共に働く場づくりや、地域の課題解決に向けた事業創出があります。また、所得保障制度を活用しながら、平均工賃を一般的な水準よりも高く設定するなど、働く人の生活の質の向上にも取り組んでいます。
基調講演の後は、トークセッションです。
パネリストとして、矢萩大輔さん(有限会社人事労務 代表取締役)、金野美香(一般社団法人日本ES開発協会 理事長)が登壇。田嶋さんと共にトークセッションを行いました。
矢萩さんは、協同労働の本質とその重要性について、日光街道を歩いた体験を踏まえて以下のように語ります。
「協同労働という言葉を聞いたことがある人はいると思うのですが、この法律の側面や協同労働の本質というところのお話を聞いたことがある人は、そんなに多くないのではないかと思います。今、自律分散型の組織やティール型組織という文脈の中で大切にしている”当事者意識”というところがあります。地域や暮らしの持続可能性に着目し、働く一人ひとりが当事者意識をもって経営に参画している、という点が、非常に興味深いと感じました。」
特に印象的だったのは、147kmの日光街道を実際に歩いた体験を通じた気づきの共有です。
例えば、杉並木の景観について、「自然を守るべき」という抽象的な議論ではなく、実際に歩いてみることでこれから見える現実の課題(歩行者の安全性など)に触れ、そこから生まれる当事者意識の重要性を説きました。
矢萩さんは、「”身体性”あるつながりの場と地域」であるコミュニティの本質について、効率や合理性だけでなく、実際に体験することで生まれる地域とのつながりの重要性を強調します。そして、地域の課題に対して、私たち自身もその課題の一部であるという認識を持つことの必要性を指摘しました。
金野は、基調講演で特に印象に残った点について、以下のように語ります。
「以前、ワーカーズコープのある事業所で、『就業規則を作るために丸一日事業運営を止めて、みんなで話し合って、働くルールをみんなで意思決定をして、次の日から仕事をスタートした』というエピソードを聞いたことがあります。当初は『それってありなんだ』とびっくりしましたが、それは自分たちでこの仕事を担っていて、この地域の中で仕事を動かしているという自覚が強く滲み出ていて、それが職場の中での対話の文化、話し合いの文化というところに大きく影響しているのだと感じています」
また、金野は2つ目の気づきとして、「ないものを作れる」という可能性をあげました。自身のキャリアコンサルタントとしての経験から、多くの人々が新しいことへのチャレンジを無意識に避けたり、与えられた枠の中でのみ行動しようとする傾向があると指摘。そのような中で、協同労働という制度は、自分が大切にしたい価値を形にし、周囲と協力して新しい仕事を創造できる可能性を提供していると述べました。特に、これから社会に出る若い世代に対して、このような選択肢があることを積極的に伝えていきたいと語りました。
トークセッションの後は、会場とオンラインの参加者からの質問に答えていきました。
例えば、「一般企業ではヒエラルキーによって意思決定がなされるが、ワーカーズコープではどのように合意形成を図るのか」という質問に対して、田嶋さんは以下のように回答しました。
「リーダーはみんなで選び、そのリーダーが日常的な仕事を見ながら提案を行います。ただし、提案の前段階として、しっかりとした議論と話し合いのプロセスを重視します。できる・できないの判断や、違う意見の提示、修正など、様々な意見を聞きながら合意形成を進めていきます。
時には強引な提案をすることもありますが、その場合も具体的な事実や可能性に基づいて提案を行います。基本的な姿勢として、組合員が『やりたい』『挑戦したい』という意識を持っているのであれば、それを支援する組織文化を大切にしています。
確かに合意形成には時間がかかり、これはデメリットとも言えます。しかし、みんなが合意できた時には、組織全体で一気に動き出すことができます。『1人の100歩よりも100人の1歩の方が大事』という言葉があるように、特定の個人の突出した行動よりも、全体が一歩前進することを重視しています。」
この回答に対して、矢萩さんは、単に話し合うだけでなく、参加者一人ひとりの「感情」にも目を向けることが重要だと補足。「この人はどういう感情でいるのか」という視点を持ちながら合意形成を進めていくことで、より良い結果が得られるとコメントしました。
本セミナーでは、「協同労働」という新しい働き方の可能性について、深い議論が交わされました。
日光東照宮客殿という歴史的な場所で、400年の時を超えて「未来の働くかたち」を考えたこの日。
パネリストたちが指摘したように、実際に地域を歩き、体験し、感じることで生まれる当事者意識や、感情に寄り添いながら深めていく「対話」は、複雑さ・多様さが際立ち時に分断が進むことも多い現代社会において、ますます重要になっていくのではないでしょうか。
Shaさんと描く未来:生成AIと歩む新たな共創の時代
2024年11月に実施された「日光街道 太陽のもとのてらこや」では、AIとの共生を独自の視点から描き未来社会を展望する、Shaさんこと西澤篤央さんをゲストとしてお招きして、「未来社会の描きかた—生成AIと共に生きる時代へ」をテーマにオープニングセミナーが開催されました。
日光街道を歩くという身体性を伴う体験の対極の存在とも思えるAIの視点を取り入れることで、身体性のある体験を問い、新たな世界を切り開く特別な講演となりました。

不安と期待の入り交じるAIと働く未来。
セミナーの冒頭、ShaさんはAIを活用した音楽生成のデモンストレーションを披露してくださいました。AIが作り出すメロディや歌詞は、日光街道をテーマにした温かみのある内容で、まるで以前から知っている曲のような親しみやすさがありました。その音楽は参加者の心を掴み、「AIと人間の共創」というテーマを象徴するものでした。

AIは想像以上の速さで進化しており、現在では私たちの日常的なタスクを補助するだけでなく、創造的な作業にも寄与する段階に来ています。
Shaさんは、テキスト生成をはじめとしたAIツールについても言及され、「ChatGPT」「Claude」「Gemini」「Perplexity」といった多様なツールの中でも、特に「ChatGPT」は最新機能が実装されるスピードが早く、利用者の意図を汲んだ上での回答を評価されているそうです。
確かに私自身も日常的にChatGPTと会話をしており、よく理解した上で話してくれるのでAIにケアされることも多いです。人格に合わせて回答してくれていたとは、新たな発見でした。
講演で紹介してくださったAIに関する情報では、現在のAIのIQは100を超えており、数年後には人間の知能を上回る可能性もあるとのこと。この話を聞きながら、未来の技術がもたらす可能性と、それに伴う課題について考えさせられました。
セミナーの後半では、ChatGPTを用いて「日光街道のしおり」を作成するデモンストレーションが行われました。プロンプトという指示文に応じて、しおりの文章を生成したり、さらにプラスαでの要望に基づき内容をブラッシュアップしていったり、しおりの表紙となる画像生成まで行ってくれるプロセスを目の当たりにし、AIがどれほど柔軟に対応できるのかを実感しました。デザインや音楽といった分野でのデモンストレーションでは、AIが単なる効率化ツールではなく、共創のパートナーであることを示していることを改めて感じました。
一方で、AI活用における課題も議論され、特に「AI未活用企業」と「AI先進企業」の対比が印象的でした。未活用企業では「業務効率化」を目的に導入しようとするものの、ツールを正しく使いこなせずに導入が進まないケースが多いようです。一方、先進企業は「新たな価値の創出」に重点を置き、AIを活用して競争優位性を高めています。この違いは、単なる効率化ツールとしての利用に留まるか、ビジネスの根本を変える手段として位置付けるかによって生じているようでした。
講演の中では「良い技術と良い考え方を持って、AIと向き合っていくことが大切」というShaさんの言葉が心に残りました。できればやりたくなかったことをAIに任せていき、本質的で楽しいことにより一層時間を使うことができるようになる未来も遠くないのではないか、という前向きな未来を想像させてくれるお話もありました。

講演のあとの質疑応答では、人事・労務の金野さんから「AIを活用して、海外との協業がどのように進んでいくのか」という質問も。「例えばAIが翻訳を行ってくれることでコミュニケーションが円滑化し、英語が使えないことで参入できなかった企業も参画することができ、本質的な価値を提供できる企業との取引が進んでいくのではないか」というShaさんからの回答がありました。AIの活用によって言語の壁が取り払われ、新たなチャンスが広がる可能性を示唆しており、活用方法によってはグローバルな競争力の向上にもつながっていくのだと感じました。
最後に、人事・労務/代表・矢萩さんの組織やコミュニティへの考え方をShaさんがAIに学習させた「AIダイちゃん」ならぬ「AI勘ちゃん」が登場。
「理想の組織とは」という質問に対し、「人間性を尊重する。自律分散型であり、共創と協働を推進する。価値創造経営で、福祉の向上を目指す組織」という理想像を提案してくれました。まるで本物のダイちゃんが答えたかのような回答に、参加者も驚きの様子で溢れていました。

私達の生活にも身近になってきたAIとの暮らし。日々進化し続けるAIの速度の速さに恐れを感じることも少なくないですよね。
今回のセミナーでは「人と人が出会うように、AIと出会い直す」機会となり、AIが私たちの生活や働き方に与える影響を改めて考える良い機会となりました。
AIが単なるツールではなく、人間の創造性を引き出すパートナーとなり得る可能性を感じ、これからの未来において、私たちがAIとどのように向き合い、共存していくのかを考えるヒントを得られる貴重な場となりました。

「協同労働」が描く 新たな社会の未来像

「太陽のもとのてらこや」ゴール地・日光東照宮で開催するこの講演では、労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会 田嶋さんをゲストにお迎えし、2020年法制化で新たな一歩を踏み出した「協同労働という働き方・組織のかたち」の視点から、これからの新たな社会のあり方について考えます。
地域に根ざした仕事・地域の困りごとから生まれた仕事=”暮らしごと”を通して、働く一人ひとりの成長を後押しする協同労働は、地域の持続可能性を高め、豊かな社会を育む新しい動きであると言えます。 コロナ禍を経て、暮らし方・生き方そのものに対する個々の考えかたがシフトしていく中で、この協同労働という働くかたちの推進が社会に与える影響はとても大きく、このような働くかたちにまつわる選択肢が多様に示されるようになっていて、おもいをもつ一人ひとりが基点となって事業・活動をおこせる時代になっていることを広く伝えたいと考え、今回のセミナーを企画致しました。
働く個々の主体性や創造性を活かしながら、持続的な事業運営とどのようにバランスをとっていけるか。
自律した個々が、所属意識やつながり意識をもちながら協働していくにはどうしたら良いのか。 出資・意思決定・労働という三位一体の経営において、「お金」とどのように向き合っていけば良いのか。 いわば皆で組織をシェアし、生み出した価値を分かち合う労協法人において、所有の概念はどのように作用していくのか。
そんな問いを、田嶋専務とお話しながら、社会と地域をより良くする働くの未来像について考えて行きたいと思います。
<セミナー概要>
🌳これまでのセミナーの様子
📚 地域を舞台に観えてくる これからの参加型社会とは
📚 「さとのば大学」に学ぶ 日本の未来を変えていく新しい学習コミュニティ
📚 株式会社eumo 代表取締役 新井和宏氏 「ありがとうを運ぶお金の話」
📚 「たくましく生きよ」雄勝中の挑戦から学ぶ
●日時:令和6年11月30日(土)15:15 ~ 17:00
※ハイブリッド開催(リアル参加/Zoom参加)
●会場:日光東照宮「客殿」 / オンライン(Zoom)
●プログラム
・ 開会あいさつ
・ 基調講演
・ トークセッション
・ シェアタイム・質疑応答
・ 総括・謝辞
・ 閉会あいさつ
●受講料:
Zoom参加の方 = 一般3,000円/学生1,500円
リアル参加の方=一般5,500円/学生3,000円 *特別祈祷代含む
*リアル参加お申し込みの方は、「日光街道 太陽のもとのてらこや」最終日(11月30日(土))にご参加いただけます。
*本セミナーは、ドネーションチケットの形をとらせていただいております。皆さまの参加費の一部は、日光街道沿いの地域の子どもたちのはたらくワクワクを育むお仕事体験「はたラボ」の運営費および学生の活動参加費に充てさせていただきます。投げ銭として、上記受講料に加えてのご寄付もよろしければご検討ください。
<Good Job アクション!>
https://hataraku.jinji-es.com/goodjob/action.html
<ゲスト プロフィール>

田嶋 康利 さん
日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会 専務理事
1964年生まれ。1988年日本労働者協同組合連合会センター事業団入職。
協同総研専務、労協連合会事務局長を経て、現職。
◎本セミナーは、「日光街道 太陽のもとのてらこや」のプログラムの一環として開催するものです。
https://hataraku.jinji-es.com/nikkou.html
「未来の新しい”はたらく力”を増やす」というテーマのもと日光街道を舞台に開催する「日光街道 太陽のもとのてらこや」では、フィールドワークをまじえながら五日間に分けて日光街道147キロを歩き進みます(各日参加可)。プログラムを通して目指すのは、”境を越えてつながりから価値を生み出す”働くかたちを学ぶこと。日光街道沿いの各地域で暮らす、「越境するはたらき方の実践者」「つながりの基点として地域を動かすコミュニティリーダー」「次世代の子どもたちへバトンをつなぐ立役者」「未来思考のはたらき方を自ら実践するロールモデル」に触れながら、自分たちの未来像を描くヒントを見つけ出す経験学習の場です。
日光街道は、未来を見据え国の礎を築いた徳川家康公を始め、農家出身で農業に従事しつつも武士としてさまざまな地域興しを担った二宮尊徳氏、外国人というよそ者の視点から当時の日本の姿を客観的に世界に広めたイザベル・バード氏など、多くの偉人が足跡を残した道です。
俳人松尾芭蕉の紀行作品「奥の細道」にも多く取り上げられ、日本人から愛されてきたこの地域にある、日本の旧くから続く「はたらく」に、これからのはたらくカタチのヒントがあるのではないかと思います。
<お申込み>
未来社会の描きかた—生成AIと共に生きる時代へ

今年の「日光街道 太陽のもとのてらこや」オープニングセミナーでは、生成AIの未来可能性を探る特別講演をお届けします。
ゲストにお迎えするのは、AIとの共生を独自の視点から描き未来社会を展望する、Shaさんこと西澤篤央さんです。
日光街道を歩く、という究極の身体性の学びのプログラムとも言える機会で、なぜ生成AIというもう一方の極の世界を取り上げるのか。それは、生成AIによって、私たちの働き方・生き方が変化していく可能性を味わい、ワクワク感のもとで探究していきたいからです。
Shaさんは、”言葉と数字の前の世界における喜び”を理解し、それを基盤に、言葉と数値の集積である生成AIと触れることで、AIと人間が共に暮らす未来像を提案されています。
今回のセミナーでは、そのようなShaさんが描く未来社会の可能性や、AIと共に暮らすライフスタイルについてお話しいただきます。
また、「AI Shaさん」との対話や、や「AIだいちゃん」とのセッションなど、参加いただく皆さん自身がAIとの新しい関わり方を体感する機会も予定しています。
未来の技術がどのように私たちの生活を変え、私たちがどのようにAIと共生していくのか。
その展望を体感できる貴重な機会です。ぜひご参加ください。
<セミナー概要>
●日時:令和6年11月9日(土)10:30 ~ 12:15
*ハイブリッド開催(Zoom参加/リアル参加)
●プログラム
・ 開会あいさつ
・ Shaさん 基調講演
・ トークセッション(Shaさん × AIだいちゃん ×金野美香)
・ 質疑応答
・ 謝辞・閉会あいさつ
●受講料:
Zoom参加の方 = 一般2,000円/学生1,000円
リアル参加の方=一般3,000円/学生1,500円
*リアル参加お申し込みの方は、「日光街道 太陽のもとのてらこや」初日(11月3日(祝))にご参加いただけます。
*本セミナーは、ドネーションチケットの形をとらせていただいております。皆さまの参加費の一部は、日光街道沿いの地域の子どもたちのはたらくワクワクを育むお仕事体験「はたラボ」の運営費および学生の活動参加費に充てさせていただきます。投げ銭として、上記受講料に加えてのご寄付もよろしければご検討ください。
<Good Job アクション!>
https://hataraku.jinji-es.com/goodjob/action.html
<ゲスト プロフィール>

西澤 篤央 さん(shaさん)
Project Regrow 代表
元ボードゲーマー、元ITジェネラリスト、コンサルタント。変容の推進と民主化を考えている人間。特技がゲームなので、ゲームを中核に据えて活動しております。shaのダイナミック名刺
→ URL:https://shorturl.at/wlJLd
◎本セミナーは、「日光街道 太陽のもとのてらこや」のプログラムの一環として開催するものです。
https://hataraku.jinji-es.com/nikkou.html
「未来の新しい”はたらく力”を増やす」というテーマのもと日光街道を舞台に開催する「日光街道 太陽のもとのてらこや」では、フィールドワークをまじえながら五日間に分けて日光街道147キロを歩き進みます(各日参加可)。プログラムを通して目指すのは、”境を越えてつながりから価値を生み出す”働くかたちを学ぶこと。日光街道沿いの各地域で暮らす、「越境するはたらき方の実践者」「つながりの基点として地域を動かすコミュニティリーダー」「次世代の子どもたちへバトンをつなぐ立役者」「未来思考のはたらき方を自ら実践するロールモデル」に触れながら、自分たちの未来像を描くヒントを見つけ出す経験学習の場です。
日光街道は、未来を見据え国の礎を築いた徳川家康公を始め、農家出身で農業に従事しつつも武士としてさまざまな地域興しを担った二宮尊徳氏、外国人というよそ者の視点から当時の日本の姿を客観的に世界に広めたイザベル・バード氏など、多くの偉人が足跡を残した道です。
俳人松尾芭蕉の紀行作品「奥の細道」にも多く取り上げられ、日本人から愛されてきたこの地域にある、日本の旧くから続く「はたらく」に、これからのはたらくカタチのヒントがあるのではないかと思います。
<お申込み>
日光街道フィールドワーク2024@古河
猛暑の一日ということで、まずは文政年間創業の米銀さんのイートインスペースでランチ。
道すがら地元の方にいただいた古河のパンフレットを見ながら、「麻久良我」「古河公方・足利成氏」「石造宝塔」「熊沢蕃山」等々それぞれの興味ある言葉をピックアップしてChatGPTを使って情報を掘り下げました。

同じ肴町界隈にあるコミュニティスペース「坂長」さんに立ち寄ったあとは、鷹見泉石さんのお屋敷で一休みしつつ、古河歴史博物館で先ほど掘り下げた情報を更に広げる時間。
風情あるまちなみをゆるりと歩きながら、からだとあたまで古河の歴史を感じました。
毎年「太陽のもとのてらこや」三日目行程でお世話になっている鈴木園さんでは、抹茶ソフトをいただきながら、古河のまちの今をお伺いしました。

フィールドワークでは、「自分のペースで道を歩いた時に何を感じるか・何が観えるか」ということを大事にしています。

日頃、無意識に誰かのペースに合わせて過ごすことで、自分の発見や興味に蓋をし、それゆえあらたまって「何をしたいの?」「どうありたいの?」と問われた時に、おもいを表現することに詰まってしまい、「自分にはやりたいことがない」と決めつけてしまう。
でも、発見や興味の種は日常にころがっています。
古河のお殿様が「これは何?」と雪の結晶を探究し続け、書物『雪華図説』を書き残してくれたように、自分の源にあるわくわくの種を大切に、道を歩いてみたいなと思っています。


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日光街道 太陽のもとのてらこや2024(まちあるき/徒歩行軍)
①日本橋→越谷:11月9日(土)
②越谷→栗橋:11月16日(土)
③栗橋→石橋:11月17日(日)
④石橋→今市:11月29日(金)
⑤今市→日光東照宮:11月30日(土)

2024グリーンフェス 事務局として運営に携わりました。
皆様グリーンフェスにご参画頂きありがとうございました。
事務局の増田です。
事務局をやった感想としてはまず、本当に大きな成長をさせてもらえたなと思いました。

グリーンフェスを行うにあたって、盛り上げていくには誰一人かけてはならないのだなと感じました。
始めた当初は南桜井に一度も行ったことがなく、こんな場所があるのかといった感じでした。しかしポスターを貼りにお店に寄ったり、ポスティングをしに沢山街を歩き回った結果、今では地元越谷よりも知る場所になりました。


皆さん快くポスターを貼っていただき、今までは友人間でしか交流をしないようにしてきたのですが、皆さんと交流をすることで人と接することへの楽しさなども学べた気がします。

それから地元の庄和高校の生徒会の子達とも接し、年上の方と接することとは要領が違い、どう話していいのか迷っていました。しかし本番までには普通に話せるようになり、一致団結をして行えたことがすごく嬉しく思いました。

グリーンフェス本番の印象としてはあっという間だったなと感じました。ブース出店者の方々とお話をさせて頂いたり、写真を撮っていたらすぐに時間が過ぎて行ってしまいました。

私は高校の文化祭や体育祭といったイベントごとに本気で取り組んだことが無く、本気で大勢の人間と何かを成し遂げるという意味では、初めての経験をさせてもらえたなと思いました。


本番が終わった後の感じとしてはふわふわした新鮮な気持ちでいます。恐らく初めての感覚なので言語化できないのですが、そのうちこの気持ちというのが理解できる日が来るのではないかと思っています。来年もまたよろしくお願い致します。
本当に皆様グリーンフェスを一緒に作り上げていただきありがとうございました。
コミュニティ経営の視点から 中小企業の人的資本について考える<春のてらこや2024>

🌸JES 春のてらこや2024 概要 🌸
コミュニティ経営の視点から 中小企業の人的資本について考える
<日時> 2024年1月19日(金)17:00~18:50(16:45よりZoom受付開始)
<タイムスケジュール>
・オープニング・開会にあたり
・ご挨拶(影山摩子弥先生)
・トークセッション1:人事のフィールドから人的資本経営をどう捉えるか
(清水秀城さん・畑中義雄さん/モデレーター 金野美香)
・トークセッション2:コミュニティ経営の視点から人的資本について考える
(影山摩子弥先生・清水秀城さん・畑中義雄さん/モデレーター 金野美香)
・閉会あいさつ
<ゲスト>
◍ 影山 摩子弥 先生(横浜市立大学都市社会文化研究科 教授)
◍ 清水 秀城 さん(社会保険労務士/社労士事務所HR人事支援研究所 代表)
◍ 畑中 義雄 さん(社会保険労務士/有限会社人事・労務チーフ人事コンサルタント)
*モデレーター:金野美香(一般社団法人日本ES開発協会 理事長)
<参加費について>
◆参加チケット:2,000円(税込み)
◆ドネーションチケット:2,500円(税込み)
※参加者の皆さんには、後日アーカイブ動画をお送り致します。
※今回のセミナーの模様は、「TERAKOYA オンライン」にて録画動画を公開致します。
TERAKOYA オンライン▼
※ドネーションチケットとしてのご支援は、当協会Good Job アクション「子どもたちの”はたらく”体験・はたラボ」運営に充てさせていただきます。
🌳Good Job アクション!
https://hataraku.jinji-es.com/goodjob/action.html
🌸 お申込み
お申込みいただきましたメールアドレスに、お支払いとZOOMのURL等、詳細のご案内をいたします。
「さとのば大学」に学ぶ 日本の未来を変えていく新しい学習コミュニティ~「あるもの探し」で自分や環境の捉え方を変える~
(有)人事・労務や日本ES開発協会の活動にインターンとして関わらせていただいております、横浜市立大学国際教養学部1年の森愛里です。

「太陽のもとのてらこや」1日目に、株式会社アスノオト代表取締役の信岡良亮さんにオープニングセミナーを行っていただきました。そのお話のなかで感じたことや学んだことを共有させていただきたいと思います。
私は「学ぶ」ということに関してどこか退屈な、みんなで机に向かってするようなイメージを持っていました。ですが今回のお話は、私の考えを根底から覆すような内容で、驚きと発見の連続でした。
まず、「さとのば大学」について。2019年からスタートした4年制の大学で、日本全国の地域をめぐりながら学びを深めていきます。地域の人と関わりながら「暮らす」ということを体感し、少子高齢化などの社会問題を身近なものとしてとらえることが出来ます。実際に自分の体で地域に出向くので、学びの内容は人によってさまざまで、設定された25の地域をめぐる順番も人によって違うそうです。みんなで同じ内容をなぞるのではなく、人によって学ぶ内容が違うというのがとても興味深かったですし、私の実体験としても、教室で受けた授業よりも遠足や就学旅行、社会科見学など、自分の足で実践的に学んだ内容の方がずっと鮮明に記憶に残っています。生徒が退屈せずに楽しく学べるだけでなく、より多くの学びや発見が得られるシステムだと感じました。

また、お話の中で特に印象的だったのが「あるもの探し」についてです。人は「ないもの」について考えがちで、どうしてそれが自分に備わっていないのだろうかと、ネガティブに考えてしまいます。しかしそれは、自分にはあまり関係のないものであることが多いのです。例えばある田舎で「高いビルがない」「大きな商業施設がない」などの不満があったとします。それが全くその地域に関係のないものなのかどうかは見方にもよりますが、田んぼがずっと続くような田舎道に突然巨大なビルが建つというのは現実的ではありませんし、それよりもそこに備わっている自然や畑などのほうが、その地域の人と密接に関わるものです。田んぼや畑が多くある田舎なら、そこに住む人たちは地域で採れた米や野菜を食べて生活しているかもしれませんし、そこに広がる自然に魅力を感じて移住してきた人もいるかもしれません。自分に紐づいた「あるもの探し」がとても大切なことなのだと実感できました。

私も自分にないものについて考えて、人を羨んだり、どうして自分はこうなのだろうと落ち込んだりすることがありますが、私にはこんな特徴がある、こんなことが得意だと考えると、気分も明るくなってより前向きに物事に取り組めるようになりました。学生の間も、社会人になってからも心がけていきたい考え方です。

能動態・受動態の真ん中の中動態に関するお話もありました。能動態は自分が動く、他者と関わるというよりは自分が重視され、受動態は逆に他者に物事を与えられる、他者を重視した考え方です。この真ん中の「中動態」は、単純なする・されるの枠組みには入らない状態で、自分だけが動くわけでもなく、他者の下に自分がいるというわけでもなく、共に成長を見守り合うフェアな関係です。立場は違っても同じ方向を向いて歩きます。これは学びの場だけでなく、働いたり人と関わったり、どんな場面においても大切なことだと感じました。

全体を通して実践的なお話が多く、自分の私生活にも取り入れていきたいと思う考え方が多くありました。今回のセミナーで学んだ「あるもの探し」や「中動態」などを心がけて、これからの学校生活や人との関わりをより有意義なものにしていきたいと思います。
日光街道はコミュニティツーリズムの舞台
「太陽のもとのてらこや」三日目の行程は、栗橋→古河→野木→間々田、とご縁の深いまちを歩き進む一日です。
徒歩行軍チームはコツコツと歩き進み、古河を経て野木神社さんで、毎回取り組ませていただいている落ち葉掃きのあと、早めのランチタイム。
七五三のお参りの家族が集まる晴れやかな空気の境内で、できたておにぎりをいただきながら、午後の長い道のりに向けて力を蓄えました。
同じ頃、スケッチを終えたまちあるき一行は、坂長さんでの休憩を終えて、古河のまちのつながりの基点・鈴木園さんへ。
お伺いするたびに、古河のまちの歴史や文化という縦軸と、人々の暮らしかたや近隣のまちとの関わりといった横軸、の両面から、まさに多層的に重なりあう地域の姿をお伝えくださる石川代表。
お茶で一服しつつ、抹茶アイス・抹茶ソフトを皆でいただきながら、今回もお話をお伺いしました。
その後は、903シティファーム推進協議会の田心カフェで仕入れさせていただいている杉本納豆さんにも立ち寄り。
「このまま古河で一日を過ごしたいね」という声が聴こえてくるほどの、つながり豊かなまちあるきとなりました。
この三日目行程を歩いていると、「コミュニティ・ベースド・ツーリズム(コミュニティツーリズム)」という言葉の意味を体感します。
地域コミュニティが主体となり、その土地の歴史や文化、そこに住む人たちの暮らしの智慧そのものをコンテンツとして巡っていく形をコミュニティツーリズムと呼ぶのですが、わたしたちが「太陽のもとのてらこや」で行なっているのも、まさにコミュニティツーリズムの姿。
(古河歴史博物館では、特別に”ストリートオルガン”を演奏してくださいました。オランダとも交流があった江戸時代のインフルエンサー(?)鷹見泉石さんにちなんでオランダ製。圧巻でした。)
歩きながら土地に埋め込まれたものを掘り起こし、地域の方たちとの関わりを通じて魅力あるコンテンツとして編集しながら、その地域で暮らす方たちの協力のもと、まちをめぐったり道を歩いたりしています。
栗橋・古河・野木と歩き進むと、日光街道の真ん中の宿場町・間々田に到着するのですが、この間々田も含めてコミュニティツーリズムが創られているのです。
間々田では、徒歩行軍もまちあるきも、「蛸屋間々田店」さんに立ち寄り。
毎年ご挨拶させていただく酒井さん・鈴木さんというスタッフお二人と、JES活動を共に推し進めている社労士・小池さんのご家族とが、とても温かなおもてなしをしてくださいました。
きっと、江戸の宿場町の時代からずっと、こうやってヨソからやってきた一行を「ようこそ」「お茶飲んで行きなさい」「この先も気を付けてね」と受け入れてくれる素地・気風が土地に刻まれてきたんだろうなあ、とこのエリアを通るたびに思うのです。
古河のまちを舞台にしたアートワーク
日光街道沿いの好きなまちランキング(JES調べ🌝)で必ずトップ3に入るまち・古河。
古河公方の本拠地、古河城の城下町、そして日光街道の宿場町…と、土地の記憶が積み重なり、情緒あるまちなみや地域に根付いた愛着心と誇りに触れられることがとても居心地よく、歩きがいのあるまちです。
今回、その古河で、 #みんなでつくるアート部 の皆さんがアートワークを進めてくださいました。
上野のまちでは、アート部の中根さん(書道家)にVTS(対話型鑑賞)を行なっていただきましたが、今回は、ガイド役を峯村さん(多摩美術大学)が担ってくださり、皆でスケッチに取り組みました。
まずは、古河歴史博物館で土地の歴史に触れたあと、スケッチとは何か?など峯村さんから説明。
そして、小さなスケッチブックを手に、お隣の「鷹見泉石記念館」へ向かいました。
下見の際に、記念館の方にわたしたちの活動のことをお伝えしていたので、この日は、その担当の方がいろいろと声がけもしてくださり、温かい空気の中でスケッチがスタート。
おもいおもいの場所で、じっくりと対象物と向き合う静かな時間が過ぎてゆきました。
峯村さん曰く、大切なのは以下の三つ。
①興味があるものに焦点をあてる(よく観察する)
②楽しく、すばやく描く
③構図を意識する
そして、描いて終わりではなく、
・何を描いたのか
・どうしてそれを描こうと思ったのか
・描く時に意識したいポイント
これらをスケッチブックの裏側に書き留めておき、スケッチを終えたあとに皆でふりかえりの場を持ちました。
「なるほど、だからあの場所にずっといたんだね」「これを描いていたのは、そういう意味だったんだ!」など、お互いの一枚を通して、豊かな対話が生まれる場に。
スケッチを終えたあとは、古河のまちに古くからある蔵を改築したコミュニティスペース「坂長」でランチ。
親戚の集まりのようなアットホームな雰囲気の中、皆で「いただきます」。
天保年間創業の古河のお米屋さん・安井米店のおにぎり弁当をほおばりながら、お互いのスケッチブックを見せ合ったりとにぎやかに時間が過ぎて行ったのでした。
観たり聴いたり、という五感を受け身に作動させるだけでなく、「描く」という主体的なアクションを起こすことによって、こころとからだが開き、その土地のさまざまな情報に触れやすくなり、気づきが深まる。
今回のアートワークは、そのような体験の機会でした。
「その土地との関わりを深め、その場を利用して自己実現していくひとが『関係人口』である」と[は、かつてこの古河のまちでブラタモリ的な散策の時間を作ってくださった石井造園・石井社長の言葉ですが、スケッチを通してその土地に埋め込まれた多様な情報に触れながら、描く・伝えるといった主体的な行動を促してくれるアート部のこころみも、地域の関係人口を増やす重要な役割を果たしているのではないかと思います。