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日光杉並木、田原真人さんとの対話の道歩き

「太陽のもとのてらこや」最終日の特別講演は、田原真人さんにお話いただきました。


当日、今市宿をスタートする朝から、田原さんには参加者の皆さんと共に杉並木を歩いていただき、ゴール後の東照宮の中も一緒に巡っていく、という大変貴重な対話の行程となりました。

日光東照宮の中を巡り特別祈祷を受けたあとの澄んだ空気感の中、シンと静まる客殿で、田原さんの講演が始まりました。

まず投げかけられたのは、「状況(環境)→からだ(身体性)→あたま(思考)」という視点。
”思考した上で行動し物事の状況をつくっていく”という、現代社会では無意識に当たり前となっているわたしたちの動きかたを取り上げ、それによるさまざまな行き詰まり(イノベーションが起きづらい等)に気づいて来たいま、改めて、「状況が変わるとわたしたちも変わる」という点に立ち、新しい生きかたや働きかた、学びかたを探求してみよう、という点でした。


例えば、東照宮に刻まれている数々の装飾はわたしたちの目を惹きつけますが、それらは職人たちの営みの痕跡であり、そのような時間や文化が凝縮された場が、日光東照宮でもあります。
また、人が東照宮を目指して歩く営みの痕跡として、日光街道という道・環境ができたわけですが、わたしたちもその道を毎年歩き続けるという身体性ある営みを重ねながら、街道沿いの地域の文化や歴史・風土がもつ物語に心惹かれ、人とつながり、「太陽のもとのてらこや」という活動が形づくられてきました。


これらは決して綿密に設計・計画されたわけではなく、非効率だけれども生命的な営みの蓄積でもあり、田原さんはそれを「アリの巣的な営み」とおっしゃいます。

アリの巣的な営みは、そこに参加する、そこで暮らす、そこで働く、というように、からだを動かし体感しながら徐々に形づくられていくものです。そのため、個々の接点を通じてコミュニケーションが必要になり、一つのパターン・こたえとして画一的に展開していけるものではありません。


わたしたちは近代社会において、しっかりと計画を立て綿密な設計どおりに動かすことで状況が変わり新たな価値を生み出せると捉え、動かすために外発的な要因(報酬等)をエンジンに仕立てようとしてきました。日頃わたしたちが取り組む評価制度などは、その最たるものかもしれません。
しかし、そのような設計主義が過ぎることで、強制力が働いて負荷・ひずみが生じ、例えば職場であれば、メンタルヘルスやハラスメントの問題などが生じるようになったとも言えます。


アリの巣的な、生命体としての状況の中で暮らしたり働いたりしていくことは、非効率ではあるものの多様な物語が立ち上がりやすく、個々の特性が活かされコミュニティにおける自らの役割を認識することができると言います。それが、居場所感・愛着心・つながり意識といったESの状態を高め、個々の内発的なエンジンとしても作用するわけです。
企業の組織も、わたしたちのようなコミュニティの活動も、”しっかり考え綿密に設計する”ところから少し離れて、ご縁のある地域や愛着ある場の中に身を置いてみて、「状況(環境)→からだ(身体性)→あたま(思考)」という流れで営みを積み重ねてみることが、これからの社会を個としてしなやかに歩んでいく道筋になるのだと言えます。

杉並木から東照宮までの対話の道のりで、参加者からは、まちや職場が抱える問題や就職活動の悩みなど、さまざまな課題が投げかけられました。


しかし、田原さん曰く「課題がみえている、というのは、望まれている、ということでもある」と。
そこに身を置き、その状況の中でからだを動かしてみたことで、観えた世界や感じたことがあるからこそ、自らの役割や進みたい方向性が実感できるわけで、そのような個としてのおもいを基点に動いてみる、ということを大切にしていければ良いのではないかと思いました。

わたしたちの活動の意義を捉え直ししながら、この社会を生きる一人ひとりとしてのあり方を見つめ直す、まさに「enearth(掘り起こす)」の学びの機会となりました。
ありがとうございました。


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