Good job プロジェクト
昔も今も日光街道の中間地点として愛されるまち、間々田
先日、日光街道の中間地点がある間々田周辺を散策してきました。まず、間々田駅から小山市立博物館に向かい、間々田の歴史に触れ、小山乙女河岸歴史公園へ立ち寄った後、乙女屋さんというお菓子屋さんでジェラートを頂いたり、浅野屋茂兵衛さんというお蕎麦屋さんでへぎそばを頂いたり、間々田紐を見たりしてから間々田八幡宮へ行きました。そして、蛸屋さんや思季彩館さんといったお店に立ち寄りながら小山駅まで歩いて行きました。
最初に訪れた小山市立博物館では、縄文時代から現代に至るまでの間々田の歴史を学ぶことができました。間々田に古墳ができ始めたのは他の地域と比較すると遅かったけれども、多くの古墳があったことを知り、遅れながらも発展していった地域なのだと思いました。特に小山評定以降から乙女河岸が注目されるようになり、物流の重要な拠点となっていたそうです。日光東照宮の造営と修復のための資材の陸揚げや江戸への年貢米の輸送などにおいて乙女河岸が大きな役割を担っていたことが分かり、関宿と境町の人々にとっては利根川がそうであったように、間々田の人々にとっては思川が江戸と繋がる大切な交通手段だったのだと感じました。川がどれほど大きな役割を果たしていたのか改めて感じることができました。
そして、大きく広がったきれいな田園風景を見ながら小山乙女河岸歴史公園に行くと、休憩所で休んでいた方が私の持っていた日光街道と書かれた旗を見て声を掛けてくださいました。何もないと口では言いつつ、日光街道の旗に気付いてくださったり、日光街道の中間地点があることを話してくださったりと間々田という地域に愛着を持っているように感じました。
小山市立博物館で学芸員をされていた方も旗を見て声を掛けてくださり、間々田には地域に愛着を持った温かい方が多いのだと思いました。
昼食後に訪れた間々田紐のお店には伝統的な組紐が並んでおり、組紐の体験をされている方もいらっしゃいました。素朴で可愛らしいものばかりでしたが、「帯〆は一度締めると緩まず、着崩れを起こさないのが特徴」という説明を見て、実用性の面でも活躍できる技術が詰め込まれていて素敵だと思いました。私も今度体験してみたくなりました。
その後に訪れた間々田八幡宮では、緑に生い茂った木々の中に多くの風鈴が飾られている光景に日本の夏を感じ、印象的でした。緑に囲まれた日陰の中できれいな風鈴の音色も聞こえ、涼しさを感じました。また、池には多くの鯉が泳いでおり、餌をもらいに集まる鯉の中にすいすい泳ぎながら入っていく小さな亀もいました。拝殿の下の隙間には猫がおり、涼んでいるように見えました。
自然に囲まれる心地よさと共に、生き物たちののんびりとした雰囲気も感じ、癒やされる空間でした。境内には「頼朝手植えの松」と呼ばれる松や「無事かえるの像」という可愛らしいかえるの像もありました。
939年頃に起きた平将門の乱の際に藤原秀郷という武将が間々田八幡宮や沿道の神社仏閣に戦勝を祈願し、乱を平定したと言われており、それを聞いた源頼朝も奥州藤原氏との合戦の際に間々田八幡宮を参拝し、戦勝を祈願して松を植えたとされています。そして、その松は「頼朝手植えの松」と呼ばれ、明治38年に枯死してしまうまで大切に守られ続けたそうです。現在、頼朝手植えの松は3代目となっており、代替わりしながら頼朝が間々田八幡宮を訪れた歴史を伝えてくれています。
間々田八幡宮には「古池や 蛙飛こむ 水の音 芭蕉翁」と刻まれた句碑もあり、その句碑の裏に「地元の名士であった田口久七が北越遊歴中に病に倒れた際に、故郷の間々田八幡宮を心に浮かべて一心に祈ったところ、病が癒え、無事に故郷に帰ることができ、その神恩に感謝してこの出来事を後世に伝えるためにその句碑を奉納した」というお話が書かれているそうです。そして、田口久七が故郷の鎮守の池に棲むかえるの姿に芭蕉の名句を重ねて伝えようとした、その感謝の思いに「無事かえるの像」というかたちが与えられて祀られているとのことでした。無事かえるの像が建立されたのは令和2年であり新しくできた像でしたが、これから頼朝手植えの松のように何百年も大切にされ、様々な歴史が刻まれていってほしいと思います。
その後、小山駅へと向かう道の途中で立ち寄った蛸屋さんには、どれを買おうか迷ってしまうほど美味しそうな和菓子がたくさん並んでいました。私はみかもの月と栗石がえしを頂きました。みかもの月はふわふわのスポンジの中にやさしい甘さのカスタードが入っており、栗石がえしはふわふわのスポンジの間にあんこと一粒の栗がそのまま挟まれており、どちらもとても美味しかったです。そして、思季彩館さんには808ブルワリーさんという小山市にあるブルワリーで製造されたクラフトビールなど、様々な小山市のものが並んでいました。
そこで私はオヤマエールという小山で採れたお米を使って作られたビールを頂きました。フルーティーな風味があり、普段あまりビールを飲まない私でも飲みやすかったです。
間々田の散策を通して、源頼朝や徳川家康といった誰もが知っているような歴史上の人物も訪れ、非常に大切にされていた地域であることを学びました。また、日光街道の旗を見て声を掛けてくださった方々とお話をして、そのような歴史に誇りを持つ地元の方々に愛されている地域であることも実感しました。間々田には今回訪れた場所の他にも逢いの榎や小山市車屋美術館など気になる場所がたくさんあるので、また訪れ、より多くの魅力に触れていきたいと思います。