Good job プロジェクト, 未来の新たな”はたらくカタチ”

影山摩子弥先生の講義から考える「人的循環経営」の可能性

2026年2月に日本ES開発協会の新年会が開催され、顧問である影山摩子弥先生による講義が行われました。

今回は「これからの企業経営における、人と組織の関係性」というテーマのもとにお話いただきました。

まずはじめに、従来の組織のあり方について二つの典型を挙げました。
一つは、役割や権限が明確に定められたヒエラルキー型組織。もう一つは、価値観を強く共有した共同体型組織です。
一見すると異なる形に見えるこの二つの組織ですが、どちらも組織の構造や価値観が強く固定されており、「隙間」が生まれにくいという点が共通しているそうです。
しかし社会が豊かになり、人々の価値観や生き方が多様化していく現代では、こうした固定的な組織の形だけでは十分に機能しなくなっています。人はそれぞれ異なるニーズや関心を持ち、それを主体的に追求するようになっているからです。

こうした社会の変化の中では、企業もまた多様なニーズを捉え、情報を処理しながら柔軟に対応していく必要があります。そのためには、組織の内部だけで完結するのではなく、社員一人ひとりが社会と接点を持ち、外部から情報を取り入れていくことが重要になります。

影山先生は、この点を説明するために、システム論の「最小多様性」という考え方を紹介しました。

これは、組織が存続するためには、その組織を取り巻く環境と同じか、それ以上の多様性を内部に持つ必要があるという理論です。
つまり、社会が多様化している時代には、組織の中にもそれに応答できる多様性が必要になります。そのためには、社員が社会の中に出ていき、人や地域、さまざまな活動に触れることで、多様な情報や経験を持ち帰ることが重要になります。

影山先生から見た有限会社人事・労務(日本ES開発協会の母体組織)は、こうした考え方を踏まえ、以前から「自主的でありながら緩やかにつながる組織」というあり方を提起してきたことをお伝えいただきました。これは、ヒエラルキーでも共同体でもない、一人ひとりの主体性を尊重しながら関係性が広がっていく組織の姿です。

そして、この考え方をコミュニティ経営の視点を踏まえて提示したものが「人的循環経営」です。

人的循環経営とは、人材を単に管理する対象として捉えるのではなく、人の経験や関係性が組織の中で循環していく状態をつくる経営のあり方です。
社員が外に出て社会と触れ合い、人を知る体験を持ち帰る。その経験が組織の中で共有され、新しい視点や発想を生み出していく。そして、その活動は企業の中だけでなく、地域や社会にも新しい循環を生み出していきます。

このように、人が社会と関わりながら成長し、その経験が組織と社会の双方に良い影響をもたらしていく。そうした循環をつくることが、これからの企業経営において重要になるということでした。

また、この人的循環経営を企業の中で実践していくための方法として、有限会社人事・労務では「AIDAマップ」というツールを活用しています。

AIDAマップは、組織の中に流れているエネルギーや関係性の状態を可視化するための地図のようなものです。数値評価やKPIだけでは捉えきれない組織の状態を、対話を通じて言語化し、共有していきます。
AIDAマップを使った対話の場では、部署や役職を越えてメンバーが集まり、普段は言いづらかったことや、なんとなく感じていた違和感が言葉として表に現れてきます。
そこから、制度の改善だけでなく、組織の深層にある期待や願い、そして新しい可能性が見えてくることもあります。こうしたプロセスを通じて、人事制度などの制度設計もルールとしてだけではなく、人の感覚とつながった形で見直されていきます。

「組織のAIDAマップ」が照らす、会社の再定義と「あそびと余白」▼

今回の新年会では、影山先生の講義を通して、制度と文化の両方を見つめながら組織を育てていくことの重要性を改めて感じる機会となりました。

企業が持続的に成長していくためには、制度を整えながらも、人と人の関係性が育ち、学びが循環していく土壌をつくることが必要です。
今後も、人的循環経営の実践を支える取り組みとして、AIDAマップをはじめとする対話の場づくりを有限会社人事・労務コミュニティ全体で進めていきます。

人が育ち、関係が育ち、組織が育つ。

そのような循環を生み出す企業づくりを、これからも探究していきたいと思います。


[fbcomments]
Comment





Comment