日光街道 スタンプラリー

日光東照宮に見られるこれらの動物たちは、それぞれに意味があり、信仰・願い・象徴として彫られています。

 

●キリン(麒麟)

意味・象徴:聖人の出現や平和な世の中を告げる霊獣。
特徴:鹿の体に牛の尾、馬の蹄を持ち、全身に鱗があるとされる。鳳凰・龍・亀と並んで「四霊」と呼ばれる。
背景:中国古代の伝説に登場し、仁徳のある王が現れる時にだけ姿を現すとされた。

●トラ(虎)

意味・象徴:勇猛さ、魔除け、東方の守護。
特徴:力強さと威厳の象徴。四神(ししん)の一つ、青龍・朱雀・白虎・玄武のうちの「白虎」として西方を守護。
背景:江戸時代の日本では実際に見たことがある人が少なく、想像上の姿で彫られていることも多い。

●ゾウ(象)

意味・象徴:智慧と安定の象徴、仏教との関係も深い。
特徴:「想像の象」として、実物を知らずに彫られたユーモラスな形が特徴。
背景:特に陽明門の近くにある「想像の象」は、彫師・狩野探幽が絵を描き、想像力で形にされたと伝わる。

●サル(猿)

意味・象徴:人の一生を象徴し、成長と道徳を教える存在。
特徴:神厩舎(しんきゅうしゃ)に彫られた「三猿(見ざる・言わざる・聞かざる)」が有名。
背景:馬の守り神として「馬を守る動物=猿」とされ、厩(うまや)の守りに彫られている。

●ネコ(猫)

意味・象徴:平和と静寂の象徴。
特徴:有名な「眠り猫」は小さくひっそりと彫られ、裏に雀が飛び交う。
背景:猫が眠っている中で雀が飛ぶ=敵対関係がない=「天下泰平」を象徴するとされる。

●ウサギ(兎)

意味・象徴:長寿や跳躍(飛躍)の象徴。
特徴:東照宮内ではあまり目立たないが、他の寺社や東照宮の彫刻の中にも姿を見せることがある。
背景:月と結びつき、月で餅をつく姿などが描かれる。古来より親しみ深い動物。

●ライオン(獅子・唐獅子)

意味・象徴:力と威厳、守護。
特徴:日本にライオンはいないため、中国伝来の「唐獅子」として描かれる。
背景:門や欄間に対になって彫られることが多く、悪霊を寄せ付けない存在とされた。


これらの動物たちは、それぞれの文化的・宗教的背景を持ち、日光東照宮という「祈りと思想の建築空間」の中で、大切な意味を担っています。
「平和」「繁栄」「守護」などの意味が込められたメッセージアートとして、ぜひ日光東照宮を歩くときには向き合ってみていただければと思います。


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